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おうちの近くの小さなロシア
タワーリシ各位、気が付けばあっという間に3月に入ってしまい、光陰矢の如しという句とともに「おかしいなあ、ついこないだまで17歳だったはずなのに・・・」と自問せざるを得ない毎日、お元気にお過ごしでしょうか?


私はと言えば、2月の最終週の週末にはデュッセルドルフに柔道観戦に行き、その後ケルンやらボンやらへ物見遊山に出かけた(別途ブログに書くつもりです)のですが、月末の業務が忙しかったこともあり今週末はブラッセルでじっとしておりました。しかし、ただ漫然とじっとしていたのみに非ず。家から車で7分ほどのところにロシア食材店を発見し、ハンドルを握りしめ夢中で駆け抜けてきたのです!


はやる気持ちにブレーキをかけ、店舗の近くの路上に車を停め、恐る恐る近づいていくと・・・Гагарин(ガガーリン)という看板のかかったお店がありました。中ではお嬢さん(おそらく既婚と思われる)が店番をしていて、奥の方の棚で飲み物の陳列をしているところでした。意を決して、ガチャリとドアを開けて中に入ると・・・そこには、小さいながらも確かにロシアがあったのです・・・!


内心はドキドキしていましたがそこは持ち前のポーカーフェイスでロシア人になったつもりでお買い物をし、次々と懐かしい商品をカゴに放り込んでいきます。私の後に入ってきたご夫婦も確かにロシア語を話していたので「ああ、これってキリル文字の響きだよね・・・」と謎めいた形で静かに感動してしまいました・・・(笑)ロシア人のお客ばかりかと思ったら、ちょこちょこタバコや飲み物を買いに来る地元の人もいるみたいでした。日曜日だとたいがいのお店はやっていないということもあるのでしょうね。


店内には食材だけでなく、少ないながらDVDや書籍なども並んでおり、これはまさにめっけもの。学生時代に「さて皆さん、ナホトカ、というのは『めっけもの』という意味なんですよ、いいですか」と習ったことが思い起こされました。


さて、一通り欲しいものをカゴに放り込んだ後は、いよいよレジに突撃です!お互いの緊張の第一声は・・・「ズドラーストヴィチェ」。ホッ、言えた・・・ここまで100点。アイコンタクト付でお嬢さんも返答してくれましたが、何しろ外見も服装もロシア人とは全く異なる東洋人らしき男を目の前にして若干訝しげな表情であることは否めません。その後、気まずい沈黙に耐えられず、レジの後ろの棚にAK47(カラシニコフ自動小銃)の形をした巨大なウォッカの瓶を発見し、「あのカラシニコフはいくらですか?」と。応えて曰く、「125ユーロよ」と。いい値段じゃないですか・・・


ここまでこうして一進一退の攻防を繰り広げてきましたが、デビッドカードでの支払いの際に、"Ваш код."「PINコードを(入力してください)」と言われ、「ん?」と聞き返してしまいました。冷静に考えればわかって当然なのですが、それは相手が綺麗だったからか、はたまた久しぶりのロシア語に緊張していたからか、ともかく聞き返してしまったのです。その瞬間、私の鉄壁の守りが崩れ相手に質問を許してしまったのです(笑)お嬢さんはすかさずこう尋ねました。


"Вы откуда?"(出身はどちら?)


・・・やはり予想した通りの問いでした。ヤクート人か、ブリヤート人か、はたまたキルギス人かと思われたかどうかは知りませんが、「日本人ですが、1年くらいベルギーに住んでいます」と正直に答えたところ、なななんとお嬢さんの表情が緩み「え、日本人ですって!初めて日本人と話したわ」ってな具合に、結構打ち解けてくれたのです!やはりこれがヨーロッパたることなのでしょうか・・・こうしたアイスブレーキングを経た結果、例の如くなぜロシア語がわかるのか、とか、このお店では25ユーロ毎に5%割引がある、とか、日本に興味があって日本に関する本も読んでるところなの、とか、色々と話し込んでしまいました。


こちらも負けじと、やっとロシア食材店を発見できて嬉しい、とか、ブラッセルで美味しいロシア料理レストランを教えて、とか、このお店を見つけたからには通わせてもらいますね、とか、ひととおり言った気になって"До свидания!"とお店を後にしました。いやあ、来てヨカッタ。近くにこんなお店があったとはね・・・小さいながらもこういった体験をすると、やはりロシア語も勉強しなくては、という意欲に駆られますね。1つ残念だったのはお嬢さんがおそらく既婚と思われたことのみです(笑)


なんだ、ロシア人って結構愛想いいんじゃん!と今回の例からは思ったのですが、その実はどうなのでしょうね。やはり国外にいるロシア人となると、ロシア語話者たちの同胞意識のようなものがあるのでしょうか・・・?離散民などと言っては大袈裟過ぎるかと思いますが、外国人でもロシア語を話すのを目にすると「おっ!」となるのか、まあ、単に日本人だとわかると好意的にしてくれるという例もありそうですが・・・


そんなわけで、のんびりとした日曜の夕方が一転して好奇心かつ刺激に満ち溢れたものとなったお話でした。以下では今回の戦利品について写真とともにコメントしたいと思います。


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戦利品其ノ一:Черный хлеб. 黒パン。言わずと知れたロシア代表のパン。ウォッカ、じゃがいもと並んでロシアから奪ったら国家の存続が危ぶまれるという品物です。学生の頃、初めて食べた時には「こんなもん食えたもんじゃないな」と正直思いましたが、なんやかんやでその後も食べていくうちにいつしか好きになり、今ではこの酸っぱい匂いを嗅ぐことに至福すら感じるようになってしまったという、スルメ度の高い一品。ウォッカを一杯ひっかけたあとにかじったり嗅いだりすることはもちろん、サラミやイクラを乗っけて食べても抜群にオイシイ。私は以前イクラが嫌いでしたが、黒パン+イクラのコンビのお蔭でイクラも大好物になりました。この体験をうまく応用すれば、たとえ大嫌いだった人でも人生の伴侶にしてしまえるんじゃないか、そんな気すら起こさせてくれる存在です・・・(笑)黒パンマンがいないのが残念。


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戦利品其ノ二:Сухарики. スハリキ(片方は既に空)。こちらはご覧の通り、角切りにした黒パンを揚げたようなお菓子。クルトン状とでも言ったらよろしいのでしょうか?モスクワにいる時分はビールのお供としてよく活躍してくれました(もちろんチーズやサラミなど、他の精鋭たちと一緒にです)。スハリキを噛み砕く音の向こう側に、あの美しくも醜いモスクワ生活が蘇って来た気がしました・・・


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戦利品其ノ三:Гречка(蕎麦の実)。こちらは煮込んでお粥(カーシャ)のように食すのですが、ブイヨンで煮込むやり方もあるそうです。私がロシア人に教わったのはシンプルにこれだけで煮込み、つぶしたゆで卵とネギを和えて食すというもの。塩、コショウをはらりとかけていた記憶があります。以前日本で家族に食べさせたことがあるのですが、腕が悪かったのか相性が悪かったのか、残念ながら微妙な反応でした。


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戦利品其ノ四:Балтика. 有名ビール・バルチカ(7と8は空き瓶)。日本でも飲めるロシアのビールと言えばまずはこちらのバルチカではないでしょうか。日本では3番くらいしか見かけなかったと思うのですが、どういうわけかお店には5番以上の番号が置いてありました。
写真の6番はスタウトビール、7番はメーカーウェブサイトによると40か国以上で販売している「輸出」ビールとあります。8番は小麦を使用したビール(ウィートビール)です。


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番外編:こちらは先日パリで購入したニシンの缶詰ですが、よくよくみたら何故かトマトに漬かってました。2つ購入したうちの1つは食べましたが・・・う〜む、不思議な味でした。「ああ、これぞロシア・・・」という恍惚があれば食べられますが、正直言ってリピートはしなくてもいい味でした(笑)


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戦利品其ノ五:Огурчики. きゅうりのピクルス(ニンニク風味):こちらもロシアで酒を飲む上では不可欠の一品でしょう。モスクワにいた時分は"Микадо"とか"Дядя Ваня"という名前の瓶がよく店頭に並んでいて、チェーホフ好きの私は有無を言わさず後者をよく買ったものです。「桜の園」の中でヤーシャがドゥニャーシャに向かって、「Огурчик!(きゅうりちゃん)」とか言ってキスをする場面があったのですが、学生時代のある時期に身の回りで流行りそうになったフレーズですね(ほんとうか!?笑)


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戦利品其ノ六:Квас. クワス。泣く子も黙る?ソ連時代のコカ・コーラことクワスです。その正体は、黒パンを発酵させて作る微炭酸・微アルコール飲料。キエフ大公国時代から知られているというのだから凄いでしょう。私も夏にラトヴィアを訪れた際にウズベク料理屋や街中のクワス・タンクから購入して喉の渇きを癒しました。ウォッカのクワス割りとか、やってみようかな・・・


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戦利品其ノ七:Сельдь филе в рапсовом масле. ニシンのオイル漬け。こちらは先ほどのトマト漬けとはうってかわって、これぞウォッカのお供という味がして非常に美味しいです。この思いを自分だけで味わうのも若干MOTTAINAI気もしますので、「ロシア風にアルコールを摂取する夕べ」でも開催して身近なところから広げていきたいところです。


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戦利品其ノ八:Пельмени. 冷凍ペリメニ。独身男子から子持ちの母さん、年金暮らしのじいちゃんばあちゃんまで、かなり広い範囲の食卓をカバーする冷凍ペリメニ(シベリア風水餃子)です。ブイヨンで煮込んでスープとして食してもよし、スープはなしでスメタナやマヨネーズなんかで食すもよしですが、私はよく醤油で頂いていました。そういえば今思い出しましたがお店にスメタナがあるか確認してくるのを忘れました。次行った時に聞いてみることにしましょう。私の目下の目標はこのペリメニを粉から作るということです。既に麺棒と木のまな板は購入済みなので、あとは期が熟すのを待つのみでしょう・・・


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戦利品其ノ九:チェブラーシカレモネード。こちらはチェブラーシカ誕生の背景を考慮してみかん味なのかと思ったのですが、レモネードと書いてありました。このようなドリンクがあるとはつゆ知らずでしたが、オフィスに持っていってツラい時にでもグビっとやってみることにします。


こんな風にして日曜日の晩は静かに、しかしそれでいて激しく更けていったのでした・・・お近くでロシア食材が調達できるとなると、鬼に金棒の気分です。少しくらい仕事が辛くったって、黒パンをかじれば乗り切れる・・・残業ばかりの毎日だって、一杯のクワスがリフレッシュさせてくれる・・・いやいやこれは流石に言い過ぎか、とも思いますが、多くの人にとって寒くて暗いロシアの底力は凄まじいものがありますよね。


ロシア食材店「ガガーリン」、見つけたからには通いますよ!万が一ハッピーな事件に遭遇した場合は続報をいれさせて頂きますからね(笑)今週もそんな感じで頑張って参りましょう。


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author:駆け出し俳優, category:日常の一幕, 23:16
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