(5月3日のお話)
朝の5時半に目覚ましをとめて目を開けたのですがとにかく眠い・・・昨日購入したシャウレイ行の始発列車は6:45の列車ですが、詳しいバスの時間もわからないので6:15にタクシーを頼んで駅までビューンと行くことにしました。いつかの広島紀行でやったオトナのタイムイズマネー方式で10リタスなり。
駅に着くと丁度列車が入線してくるところでした。女性の検札官の方に切符を見せるとなんと英語で座席番号を教えてくれました。さすがEUですね。
なんだかモスクワ〜ノボシビルスクまでシベリア鉄道で旅をした時のことを思い出しますなあ・・・
ヴィリニュスからシャウレイまでは約2時間半の道のり。電車の中は結構快適なので景色を見たりウトウトしたりして過ごすことが出来ました。
到着まではまだ少し早いぞってな時間に"Next station is Siauliai"なんて聴こえたので、隣に座っていたおばちゃんに「シャウレイ?」と尋ねてみたところ、おばちゃんは慌ててリトアニア語で何やら言っている。「ロシア語がわかりますか?」と言ったらしばしの沈黙の後に「・・・Шяулей будет потом(シャウレイはもう少しあとよ)」と、教えてくれました。いきなりこんなザ・東洋人て顔した奴に話しかけられて驚かせてしまい申し訳なかったですが、ともかくありがとうございました。
どうやら車内のアナウンスは「(まもなく)○○駅です。次の停車はシャウレイです」ってな感じで、シャウレイはまもなく停車する駅の次の駅、というような案内の仕方だった模様ですね。
そんなわけで到着しました、こちらがシャウレイ駅前でございます・・・駅の脇の駐車場にタクシーはいましたが、ご覧の通り寂しい感じです。
ここから左の方向に向かい、バスターミナルを目指して歩いていきました。東洋人なんて1人たりとも見かけません、というかそもそも往来のナロードが少ないです・・・
10分ほど歩いたでしょうか、ご覧のバスターミナルに到着しました。お隣はショッピングモール、ロシア語でいうところのТорговый центрとなっており、こちらには旅行客やらナロードやらが大勢行き来していました。
私も早速窓口に行き「おはようございます。ドマンタイに行きたいんですが」と言って切符を買うと、一緒に帰りのバスの時間を書いた紙きれをくれました。バスは10時25分くらいに来るらしいので、12番乗り場のあたりで時間を潰してバスを待ちます。ふらふら歩いたり、地球の歩き方をめくったりしてふと辺りを見回すと、なななんと!驚いたことにいつから現れたのか、行先が同じと思われる日本人男性と女性の姿が!男性の方はパッと見た感じ冒険家のような風貌でリュックをしょっている・・・そして、女性の方は・・・少し遠いけど美人ぽいぞ・・・(笑)
こんなしょうもないことを考えていたのですが、こちらがこんなことを考えているということは、先方も私に対して似たようなことを考えているかもしれない・・・そう、あの男性には「あっちに、クマみたいなヒゲ面と、美人がいるな・・」とか思われ、あの女性には「冒険家みたいな人と、皇族関係者みたいな顔した人がいるわ・・・」なんて思われている可能性があることを考えると戦慄してしまいました・・・日本人だってことがバレる最大のリスクである地球の歩き方を閉じ、「俺は中国人だ、いや韓国人だ、いやもうブリヤート人でいい・・・」と念じているうちにバスが到着。地元民の方々と一緒にバスに乗り込みました。
バスターミナルからドマンタイまでは15分くらいでしょうか。特にアナウンスもないような感じで心細かったのですが、そろそろだろうという辺りで隣にお孫さんと座っていた若めのお婆ちゃんに「ドマンタイ、チャ?」と尋ねてみたところ、頷いていたのでどうやらそうらしい。無事にドマンタイで下車出来たのです。ちなみにものの本に書いてあったことによると「ここ」のことをリトアニア語では「チャ」というらしいです。
バスターミナルから15分やってくるだけでこんな自然の中に放り込まれます。天気も最高でとにかく気持ちがいい!
近くに目的地への道標もあるので迷うことはないでしょう。
たいして車通りもないので、こんな道の端っこや真ん中をとぼとぼとゆっくり歩いて行ったのです・・・空も周りの自然もきれい過ぎて、もうこれだけで今回リトアニアにやってきた甲斐があったというものです。
歩いて行くと道端に数か所、十字架が現れます。
バスを降りたタワーリシ各位の中で私が間違いなくビリでしたが、いよいよ目的地に近づいてきた模様・・・
遠くに丘みたいな場所がちょっぴり見えてきたかな・・・?
見えてきた見えてきた!
はい、とうとうやって来ました、こちらが十字架の丘です!これを自分の目で見てみたかったのです・・・
かなりレアな本人出演写真です。影ですけどね。
とにかくどこを見ても十字架、十字架、また十字架。
ものの本に書いてある情報では、最初の十字架は1831年のロシア軍に対する蜂起の後、処刑・流刑に処された人々のために立てられたらしい、とのことです。
女子および気の弱い男子に朗報です!ここは墓地ではないので死体は埋められていません。つまり、ヘンなものが写ったりするのを気にせずシャッターを切れるというわけです。
キリストと思しきお方とか・・・
マリア様と思しきお方とかもいらっしゃいました・・・
こちらはダビデの星ですね。
日本語が書いてある十字架も静かに立っていましたよ。
丘がある草原に入るあたりにお店が出ていて、木製の十字架やらロザリオ?やらが大量に売られています。
丘を一歩抜けるとそこにはご覧の景色が・・・なぜ僕はここにいるんだろう?ってな気分になります。
なんだか綺麗な歌声が聴こえるぞ?と頭上をみると、ツバメ?がいました。なんとこのツバメさんが留まっているのも十字架でした!
おいおい、七夕かいな・・?って具合に吊る下がってます。
買ってきた十字架を皆様あちこちに立てて帰るんですね。私も買ってくればよかったかな。
こちらにおわしますのはたいそう有名な憂うキリスト像、ルービントイエリスと言うそうです。
結局2時間くらいはうろちょろして過ごしていたでしょうか。世界には本当に不思議な場所があるもんですね。十字架ももちろん印象的でしたが、とにかく空も周りの自然もきれいで、深呼吸したり近くや遠くを眺めたり、田舎出身の実力をよく発揮できた時間だったと思います。十字架も自然も満喫した私は、13時過ぎのバスに乗ってシャウレイの街中に戻るべく、またゆっくりとバス停を目指して歩き出しました。
実はこのリトアニア美人のお嬢さんはここへ来る時に同じバスに乗っていたんですよね。独特の形の楽器を抱えてすぐ近くにいたので「ひょっとしてこれ、カウナスの楽器博物館にあったカンクレス??」と思ったため覚えていたのです。実際に音を奏でる姿が見られるとは思っていなかったので大変嬉しかったのですが、「Labas!(こんにちは!)」と言ったらニッコリと応答してくれたこともこれに負けず劣らず嬉しかったのです、今の僕には(笑)素晴らしい空気に響く美しい音色に癒されました。音大の学生さんとかでしょうかね?十字架を買わなかった分を未来の大演奏家に寄付してきましたよ。
来る途中に私を追い越していった軍団の皆様が休憩していました・・・この自然とは相容れない轟音とともにすぐに駆け抜けて行きましたけどね。
バス停から歩いてきた道を引き返していると、なんと前方から日本人大学生と思われる男女2名がやって来ました。日本語で話していたのですれ違いざまに「こんにちは」と挨拶をして無事すれ違い。彼らはこれから十字架の丘に行くのでしょうけど、何だかんだでこっちの方に来る日本人もいるもんなんですね。
さて、無事に日本人とのすれ違いを果たして安心していると、今度は頭上から何者かの鳴き声が聞こえてきました・・・来る時には気付かなかったけど、なんと大きな鳥が雛たちを育てていました!
これは、コウノトリでしょうか?春にフランス・アルザスに行った時に見たのですが、巣の感じと直感でそう思ったのですが、鳥に詳しい方は是非とも教えて下さい。
そして、バス停に辿り着くと、今度は来る時のバスで一緒だった大和撫子の方が先にバスを待っていました・・・!いやあ今日は「会う日」ですね。周りに何もない田舎のバス停で日本人が2人きりとなっては私も観念するより他なく、挨拶をしてバスがちゃんと来るだろうかとか、今回旅行にきたいきさつだとか、色々とお話させて頂きました。プライベートで日本人女性とまともにコミュニケートするのは久しぶりだったのですが、関西出身の方で非常に接しやすく助かりました。油が切れたロボットのような動きになっていなかったことを信じたいのですが・・・(笑)
聞くところによるとこちらのN様(「やまと なでしこ様」より)はもともと東欧諸国に興味があったとのことですが、今回はゴールデンウィークと年休をあわせ、バルト三国を旅しておられるのだとか。エストニアのタリンに入り、ラトヴィアのリガ、そしてリトアニアのシャウレイと南下してきて、この後には同カウナス、ヴィリニュスへと抜けるそうです。なかなかのつはものですね!
バスはほぼ時間通りに来たのでスムーズにもとのバスターミナルまで戻ることが出来ました。朝から何も食べていなかったこともあり、また十字架の丘の周りは食べたり飲んだりする場所は皆無だったこともあり、カウナス行のバスまでの間、メインストリート観光および少し遅めのランチにN様にお付き合い頂くことになりました。というわけで、トコトコ歩いて中心部を散策します。
シャウレイのメインストリートはこの辺りのはずなのですが、非常にこじんまりとしていて人通りも然程多くないです。ランチを摂るレストランを探しても、あるのはカフェみたいなところばかり。
街を歩いているとお爺さんがシニアカー(あの電動三輪車みたいなやつ)に乗って並走してこちらを見ていたので、「Labas!」と声をかけると「なんじゃ、中国、韓国、それとも台湾からか?」というので、「日本!」と応えておきました。「おじいちゃん、あと一歩東洋を掘り下げてくれよ!」とも思いましたが、やはり日本人はなかなか遭遇しないんでしょうね。いきなり「ニイハオ」とか言わなかったのは流石です。
シャウレイのドラマ劇場にやって来ました。駆け出し俳優としてはとっても嬉しい機会です。
ドラマ劇場付属のカフェの前にはこんな像があります。ここのカフェでもいいかな、とも思ったのですが、結局メインストリートにあるピザ屋(ヴィリニュスでも見かけたチェーン店)に腰かけました。
「仕方ないからピザ食べるか・・・」とも思ったのですが、メニューを開いてみると「リトアニア伝統料理」なんてページもありました。なるほど、どうやら1つのお店が手広く事業展開しているタイプなんですね。
というわけで注文したチーズが乗った野菜のシチュー。エキスが沢山出ていてとっても美味しかったです。
そして、カウナスで食べたのとはまた違う感じのツェペリナイを注文。こちらは半分に切られていましたが、焼くとか揚げるとかの違いなのでしょうかね?
あれやこれやおしゃべりをしつつ少し遅いランチを食べ終えお店を後にすると、15:00のカウナス行きのバスには少し時間が厳しいかな、というところだったのですが、15:30にもバスがあるので大丈夫、ということで後者に間に合うようにバスターミナルに戻りました。ところが、待てど暮らせどお目当てのバスがやってこない・・・よくよく時刻表をみると15:30という表示は確かにあるのですが、時刻の後ろにSという文字が書いてある。これが謎を解くカギに違いないと思い乗り場の近くにいたお婆ちゃんにロシア語で聞いてみたところ、恐らく地元の人ではなかったのでしょうか、「たぶん、Sは日曜日の意味だから、日曜日にしかない便なんだわ・・・」と。
なるほど、言われるとわかりますが、まあフツーの日本人にはまずわからないですよね。次のバスは17:00ということなので、それより前にカウナス行の列車がないか駅で確認もしたのですが、どうもうまい便がみつからず。なかなか街で時間をつぶす場所もなさそうなので、件のショッピングモール、ロシア語でいうところのТорговый центрの最上階のカフェにて紅茶やコーヒーなどを啜りつつ17:00のバスを待つ2匹でありました。ゆっくりランチを食べてしまったので15:00のバスを逃してしまい申し訳なかった限りですが、様々な旅先の話や、最近疎遠になってしまった(?)日本の話を色々うかがうことが出来てよかったです。
16:40ぐらいに再び乗り場に下りていくと、今度こそきちんとバスがやってきました。結構大きなバスで、その場でチケットを買って乗り込むタイプ。これならちゃんとカウナスに行けそうです。ランチと散策にお付き合い頂いた御礼とバスをずらしてしまったお詫びを申し上げ、N様をお見送りました。残りの旅も無事に楽しまれますよう。いつか大阪に行くときがあったら連絡しますので今度はたこ焼きでもご一緒しましょうね(笑)
さて、私の方の帰りの列車は17:20かそこいらだったので、こちらも急いで駅に向かいました。
シャウレイの駅舎。両脇からプラットホームに出ることが出来ます。
急いで来た割にはまだ列車が入線していなかったので、ホームを歩き回りながら待っていました。ところが、待てど暮らせどお目当ての列車がやってこない・・・駅舎に入りよくよく時刻表をみると、なななんと!・・・時刻の後ろにどっかで見たことのあるSという文字が書いてありました!
この文字を見た時はひっくり返りそうになったのですが、私の後に窓口にやって来る旅人を見ている限り、同じ理由でひっくり返りそうになっていたタワーリシ各位が他にもいたようで思わずニンマリしてしまいましたよ(笑)
ジタバタしても致し方ないですし、危険ではない旅のトラブルは出来るだけ味方につけたいものですね!これもまた旅である、として、近くをふらふら歩いたり、持ってきた本を読んだり、ぼんやりとしたりして帰りの列車を待ちました。
結局シャウレイを発ったのは19:06の列車で、ヴィリニュスのホテルに着いたのは22時過ぎ。疲れたこともあり今晩はご飯も食べずに寝ました。ここで一気にプラマイゼロに持ってこれたかもね!(笑)